2026/08/28
いつものAくんが舞台に立ったら?~バレエ公演『シンデレラ』で見た、子どもの成長~
先日、教室の生徒Aくんが、牧麻美バレエ団のバレエ公演『シンデレラ』に子役として出演するということで、中野ZEROホールまで観に行ってきました。
普段のAくんは、とにかくよくしゃべる、ひょうきんな小学生。
レッスンでも、何かと楽しいことを見つけては周りを笑わせてくれるような男の子です。
そんなAくんが、プロのバレエ団の舞台に立ったら、一体どんな顔をしているんだろう?
楽しみで、こちらまでワクワクしながら会場へ向かいました。
先生の方が緊張している?
新宿で乗り換えると、教室の生徒さんとも合流。
一緒に中野ZEROホールへ向かいました。
今回は、Aくんの顔がよく見えるように、張り切ってS席を確保!
前から8列目という、かなりよく見える席です。
これならAくんが舞台のどこにいても、しっかり見つけられそうです。
そして、いよいよ開演。
演目は「シンデレラ」です。
1幕が始まっても……Aくんが出てくる気配はありません。
「まだかな?」
「まだ出てこないのかな?」
と待っているうちに、なぜか私の方がどんどん緊張してきました。
出演するのはAくんなのに。
私は何もしていないのに。
なぜ先生がこんなに緊張するのでしょう(笑)。
ついにAくん登場!
そして、ついに2幕。
出てきました!
Aくんです!
舞台袖から出てきた瞬間から、私のチェックが始まります。
ちゃんと並んでる?
音に合ってる?
笑顔は作れてる?
振りは大丈夫?
……もう、完全に親のような気持ちです(笑)。
しかも、今回子役として出演している男の子は2人だけ。
女の子たちの中に男の子が2人なので、かなり目立ちます。
そして、肝心のAくんの表情はというと……
めちゃくちゃ緊張してる!!
顔がこわばっています。
「Aくん、顔が怖いよ!」
と舞台に向かって言いたいところですが、もちろん言えるわけもなく(笑)。
そのまま静かに見守ります。
タンジュ、4番、そしてピルエット!
ところが。
音楽が始まると、Aくんはしっかりと踊り始めました。
タンジュ。
4番。
そして、ピルエット。
音楽に合わせて、きれいに決まっています。
「おおっ!」
思わず立ち上がって拍手をしたくなりました。
……が、そこはプロの舞台。
プリンシパルでもない子役の一人に、客席から先生が大きな拍手を送るわけにもいきません。
心の中で、
「Aくん、すごい!!!ナイス!!!」
と叫びながら、おとなしく観覧しました(笑)。
初めての「アウェイ」で、よく頑張りました
今回のAくんにとって、いつもの教室とはまったく違う環境です。
普段一緒にレッスンしているお友達もいません。
そして、いつもの先生たちだけでなく、普段教室にはいない男性ダンサーもたくさんいるプロのバレエ団の中で踊るのです。
きっと楽しいだけではなく、緊張することもたくさんあったと思います。
そんな「アウェイ」の環境で、最後までしっかり踊りきったAくん。
ミスすることなく、立派に舞台を務めていました。
その姿を見て、私はとても誇らしい気持ちになりました。
「緊張してたね」と言ったら……
終演後、Aくんに会いました。
まずは、
「Aくん、緊張してたね!」
と声をかけると……
「全然緊張してなかったよ。」
とのこと。
……。
大物です(笑)。
あんなに顔がこわばっていたのに。
先生にはしっかり緊張しているように見えましたけどね。
でも、本人がそう言うなら、それもまたAくんらしいところです。
そして、今回の舞台では、普段の教室ではなかなか接することのない男性ダンサーの皆さんと、たくさんお話する機会もあったそうです。
そこは、やっぱりAくん。
おしゃべり男子は健在でした(笑)。
緊張しながらも、しっかり交流を深めてきたようです。
プロのダンサーとの出会いも、貴重な経験
終演後は、応援に駆け付けた女子たちがサイン会に参加。
サインをいただいたあと、Aくんとも一緒にプロのダンサーさんと写真を撮っていただいたり。
舞台に出演するだけではなく、普段とは違う世界を実際に体験できたことは、Aくんにとってとても貴重な経験になったと思います。
「プロのダンサーって、こんなに大きいんだ!」
「こんな人たちと一緒に踊ったんだ!」
そんな経験が、これからのバレエへの気持ちにも何かしらつながっていくのではないでしょうか。
最後はまさかのゲリラ豪雨!
「さあ、帰ろう!」
と会場を出たところで、最後に待っていたのは……
ゲリラ豪雨でした。
空はまだ明るかったので、
「すぐ止むかな?」
なんて思っていたのですが、全然止みません。
しばらく雨宿りしていましたが、いっこうに弱くなる気配がありません。
仕方がないのでタクシーを呼ぼうとアプリを開くものの、全然つかまらない。
電話をしてみても、なかなかつながらない。
そこでAくんのお母様に近くのコンビニまで傘を買いに行っていただき、私はAくんと一緒に、1本の傘に入って駅まで歩くことになりました。
でも、これがまた楽しい時間でした。
舞台の話をしたり、普段の教室の話をしたり。
雨に降られながら、Aくんと散々しゃべりながら駅まで帰りました。
きっとAくんにとっては、舞台だけでなく、この帰り道まで含めて、この夏の良い思い出になったのでは、とは思いますが
Aくんだけでなく、私にとっても素敵な思いでになりました!
子どもたちの「成長の瞬間」は、できるだけ見に行きたい
今回、Aくんの舞台を観に行って、改めて思ったことがあります。
教室の子どもたちが成長する機会は、できるだけ自分の目で見届けたい。
普段のレッスンで見るAくんと、舞台の上に立っているAくんは、少し違って見えました。
緊張している顔も、真剣に踊っている姿も、普段のおしゃべりなAくんとはまた違う一面です。
子どもたちは、私たちが思っている以上に、いろいろな場所で、いろいろな経験をしながら成長しています。
バレエ教室で教えることだけが、子どもたちを育てることではありません。
外の舞台に立つ。
普段とは違う先生やダンサーと出会う。
知らない場所で、自分の力を出してみる。
そして、その経験を教室に持ち帰ってくる。
そんな一つひとつの経験が、きっと子どもたちの財産になっていくのだと思います。
Aくん、素敵な舞台を見せてくれてありがとう!
そして、これからも教室でたくさんおしゃべりして、たくさん踊って、また一つずつ大きくなっていってくださいね。
Ballet Dancer/ヴァリアシオン 代表
天沼沙織
2008年に北与野教室オープン。バレエの経験が無いまま教室を立ち上げ、大人クラス開講と同時にバレエを始める。
2013年より大人ストレッチサークルの講師を担当することにより、バレエでのトレーニングやストレッチがいかに楽しく、無理のないトレーニングだと気づき
2023年よりバレエ×トレーニングというコンセプトの「バレエフィットネス」という新しいジャンルで、パーソナルトレーニングスタジオ「ヴァリアシオン」を立ち上げる。